2011年 松下政経塾特別例会

 
◆吉次  翼(岡山政経塾 十期生)

《松下政経塾合宿レポート》
  『大いに耐え忍び、大志を遂げる。』




 松下政経塾の各寮室には「大忍」と書かれた色紙が掲げられている。
 これは、塾主・松下幸之助が残した「先人たちを大いに忍び、苦難に打ち勝ち、自らの大志を遂げよ」とのメッセージであるという。松下政経塾合宿で過ごした2日間は、終始この言葉を意識させられる研修となった。

 今合宿では、福田紀彦氏(元松沢神奈川県知事秘書)・海老名健太朗氏(茅ヶ崎市議)からご講演をいただいた。お二方ともに、神奈川県を舞台に先進的な取りくみを展開しておられる。それぞれのユニークな政策に共通しているのは、あらゆる社会問題に対して既成の政策領域にとらわれず、横断的に取りくんでおられること、言うなれば「総合政策」として問題解決に取りくんでおられることである。例えば、川崎市・茅ヶ崎市双方で深刻な課題となっている待機児童への政策対応についても、従来の「保育所・幼稚園をとにかく増設せよ!」といった対応策だけではなく、保育ママ制度の拡充やソーシャルビジネスの考え方を組み込みながら、柔軟に問題解決を志向されている点が印象的だった。加えて、単純に斬新なアイデアを打ち出すのではなく、それぞれの風土・地域性に応じたものであることも見逃せない。神奈川県民のひとりとして、今後自分がどのような立場で地域社会に貢献することが出来るのか、しっかりと考えていきたい。
 一方で、こうした先進的な取りくみでさえ、これから本格化する人口減少・少子高齢社会においては、充分に対応しているとは言い難いのも事実である。誰もが経験したことなく、容易にはイメージすらできない将来に対して、なんとも表現し難い不安と無力感を感じた。

 この夏、わたしは22歳になった。世間は私たちの世代のことを「すぐ諦める」「消極的」「向上心もない」と痛烈に批判する。たしかにその通りかもしれない。しかし、これは仕方のないことだと私は思っている。右肩あがりの時代を一切知らず、物心ついたころにはバブル崩壊、自分たちが望んだわけでもないゆとり教育を受け、成人までの道程を振り返ってみれば「失われた20年」と評される始末。さらに、この先にはさらに大きな試練が待ち構えている。急激な人口減少、世界最速で進む少子高齢化、世界最悪の借金。これだけの状況下で、未来に希望を抱けと言うことの方が無謀である。閉塞感を抱いてしまうのは至極当然のように思える。
 しかしだからこそ、我々の世代は立ち止まってはならない。同世代の松下政経塾生たちとの語らいを経て、そう意識を改めさせられた。先人たちを恨み、ひたすら将来を悲観していても何も解決しない。人口減少を受けとめ、少子高齢化に対応した社会を創造し、その上なお借金を返すために、ありとあらゆる努力をしなければならない。当然、親世代と対立することもあるだろう。それでも、先人たちからの重圧に大いに耐え忍び、自らの意思を曲げることなく、大いなる志を実現しなければならない。まさに「大忍」の精神で、ねばり強く国づくりに臨まねばならない。

 日本に残された時間はわずかである。我々の世代に国家の命運がかかっているといっても過言ではない。これからを生きる世代のひとりとして、自分の持ち場で出来る限りの働きをしていきたい。