2011年 松下政経塾特別例会

 
◆中川 真寿男(岡山政経塾 十期生)

《松下政経塾合宿レポート》
  『―――  人間を磨くということ  ―――』




【はじめに 】
 松下政経塾がどんなところにあり、塾生がどの様に勉強しているのか。また、松下幸之助さんの理念はどういうものなのか。これらを研修し、自分に吸収することを目的に松下政経塾を訪れました。
 野田佳彦氏が総理大臣になり、彼が塾の一期生ということで今マスコミでも松下政経塾のことがよく取り上げられており、色々な意味で関心を持ってこの合宿に望みました。


【松下政経塾 】
 辻堂の駅からすぐのところにあり、閑静な住宅街の一角に、松下政経塾がたたずんでいました。木立の突き当たりに趣のあるアーチがありました。秋山次長さんに敷地内を案内していただき、このアーチ門の下にはパワースポットがあり、「この門をくぐる者は、どんな困難に出会おうとも愛と平和と正義と勇気で太陽に向かっていく」という願いが込められているとのこと。敷地内の建物は、ギリシャ風を意識し、荘厳な塔、建物が並び、また茶室も配置されていた。真の国際人になるためには、日本の伝統文化を習得しなければならないという方針のもと、茶道や座禅などの稽古が研修に取り入れられ、この茶室が利用されているとのこと。床の間に松下幸之助さん直筆の「素直」の掛け軸があり、飾らないまっすぐな字で、松下さんの気持ちをこの二文字が表しているようでした。松下さんの本の中で、素直について、「お互い人間が自らの願いを実現するためには、それを実現するにふさわしい考え方、態度、行動を表していくことが肝要であり、その根底をなすものが素直な心」だと述べていました。この茶室の空間は、そういう心を涵養する場なのかと思い、建物といい、あらゆるものの環境が非常に恵まれたものだと感じました。
 また、塾生は朝6時におき掃除の時間があり、私たちも1時間の掃除を行いました。掃除を行うのは物理的に建物、広場等をきれいにすると同時に、自分の気持ちを見つめる時間でもあったような気がしました。毎日掃き清めて、「きれいになった」「気持ちいい」と感じることは、とても大切なことではないかと思いました。
 古山塾頭から「松下政経塾は、人間を磨き、志を磨く道場であり」、先生のいない塾だと説明がありました。松下塾主のビデオの中で、「宮本武蔵は先生がいなかった。自分で窮めて天下一の人間になった。教えてもらったものは、事が知れている。自分で考えてやれ。」といった言葉が印象に残りました。松下政経塾もこの姿勢を大切にし、「自修自得」を研修方針の第一に掲げているとのこと。自らの手で日本を変えていくという強い信念と高い志を持ち、日本を救う道を考えている松下政経塾には敬意を表しますが、地域から日本を良くしていく志で活動している岡山政経塾も高い志で頑張っているのではないかと思いました。



【講義 】

・ 福田 紀彦さん
 川崎市長を目指して政治活動中とのこと。川崎市の現状を分析し、問題点を述べ、それに対する自分の政策を説明していただきました。私の認識では、川崎市は京浜工業地帯の優等生で日本の高度経済成長を支えてきたところであり、東京にも近く裕福なイメージがありましたが、現状は重厚長大産業からの変換を目指してライフサイエンス関係などの先端技術都市へと変貌しており、生活保護の率が高く、コミュニティが希薄になり、存在感のない街になっているとのことでした。資料を調べてみると、財政はどうにか不交付団体を保ってはいるものの、市債残高が膨らみ、厳しい財政運営を行っているのが現状であろう。   
 福田さんは、川崎市を3区に分け準区議会にし、一定の権限を持たせて区の運営を行う。具体的には、教育で川崎の復活を考えており、コミュニティスクールの設置、寺小屋事業などのソーシャルビジネスの活用、保育ママ制度での待機児童減少を目指すなど色々な政策を熱っぽく語っていただきました。
 企業誘致を行い、税収の安定を図り、教育、福祉の充実と都市計画を行い、街づくりを進めていく。大都市でも小さな早島でも問題点は違わないんだな、知恵を絞って街づくりに取り組んでいかなければならないと改めて思いました。

・海老名健太郎茅ヶ崎市議
 茅ヶ崎市の紹介から市議としての活動、松下政経塾のことなど自分の経験をもとに語っていただきました。市民の意識と議員の態度、議会の常識と一般の常識がいかに違っているのかなど、現場で苦労している生の声が聞けました。当局提案の条例案に、議員提案の修正案を提出したり、市役所建て替えに代替案を出すなど、風貌からは想像しにくいが、役所の仕事について細かく検討し、市民の声に耳を傾け、よく勉強されているなと思いました。議案提出は議員もできるが、実際の提出は皆無に近いのではないだろうか。議員は当局の提案について賛否を述べるだけで、議案提出ができる海老名議員はすばらしいと思いました。


【終わりに 】
 自ら問題を提起し、自分で答える「自修自得」を自分のことに置き換えてみると、私は、自分で考えて事に当たるより、教えてもらう気持ちが先にたっていたように思い、齢五十を超えていますが、人生終生勉強であり、自分を磨きながら、自分で考え、自修自得を行い、自分の進むべき道を開拓していかなければならないと強く思いました。
 学習の場を提供していただきました松下政経塾の皆様に感謝申し上げますとともに、お世話いただいた小山事務局長にお礼を申し上げます