2010年 松下政経塾特別例会

 
◆賀門 俊裕(岡山政経塾 九期生)

《松下政経塾合宿レポート》
  湘南・茅ヶ崎で松下幸之助塾主の理念に学ぶ



【0. はじめに】
 松下幸之助塾主は敬意を表する経営者のお一人です。塾主に関する著書も読みました。最も印象に残っていることは、松下電器産業の創業時に社員から「松下は何をつくっている会社ですかと尋ねられたら、何と答えれば良いでしょうか?」と質問された際、塾主からは「松下は人を創る会社です。ついでに家電製品も造っています」とご返答されたそうです。「人こそ財産である」というお考えは、重く受け止めることができます。
 今年で創立31周年を迎え、政治をはじめ多岐にわたる分野で活躍される240名を超える人材を輩出した松下政経塾の門を初めてくぐったときは、深く感動しました。


【1.古山塾頭の講義および松下幸之助塾主のVTR 】
 「人に教われば、上手にはできても名人にはなれない」について、自分にとって習得すべきこと,どのレベルを着地点として習得すべきなのかを自ら考えて実行することが、“自修自得”であると咀嚼しました。また、現状に満足することなく常に向上意欲を持って、自らを高めていく努力を続けることであるとも受け止めました。
 古山塾頭からの「松下政経塾設立の趣旨は、理念と方策を研究し、これらを実現し得る人材を育成」するというお話は説得力があります。
 これまでの自分を振り返り、自信を持って努力してきたと言えるものがあるのかと自問自答しました。嘆くよりも、今日からは塾主のお考えを実践するように取り組んでいきたいです。


【2.海老名健太朗・茅ヶ崎市議会議員の講義】
 茅ヶ崎市の紹介からのお話はとても興味深く聴くことができました。入塾以来、茅ヶ崎市に住み、茅ヶ崎市を好きになり、市議会議員になられたこともよくわかりました。
議員年金の廃止を例に挙げられ、「議論したくない案件ほど議論しないで数の有利で押し切られる」という、理想と現実の違いに悩まれるのは残念なことです。同時に、真剣に考え悩んでいる海老名議員の姿勢に共感しました。
 地域住民のため、国民のための政治を掲げ立候補しながら、いざ政治家になると自らの既得権益ばかりを主張するのは、空しい限りです。政治家の発言は美辞麗句で終わってしまうのなら、有権者としてやりきれません。しかし、有権者も一人ひとりが政治に関心や問題意識を持つことも大切なことです。
 海老名議員の意思は市民の声を力にすれば、賛同者も増えて叶うと信じています。昨日よりは今日というように、日々前進していただきたいです。


【3.海老根靖典・藤沢市長の講義】
 「市民の目線による市民経営」〜一生住み続けたいまち湘南藤沢の実現〜 
 藤沢市内13地域を「地域のことは地域住民に任せる、市民の意見を市政に反映させる」方法はとても斬新です。自分の意見や要望が市政に反映されると、市政への当事者意識も高まります。アンケートの実施前と後では市民の考え方も異なっていたことも納得できます。
「行政目線ではない市民の感覚,市民一人ひとりが経営者」という政治思想がいまの藤沢市政につながっていると理解できます。
 海老根市長のコップ半分でもまだ半分あるという考え方、成功の秘訣は成功するまで続けるという前向きな姿勢と市政にとても共感しました。


【4.高橋宏和塾生からの発表】
 ご自身の9年間におよぶ医師の経験に基づく課題認識から現在までの活動状況はわかりやすく説得力のあるお話でした。政治家になって医療崩壊を何とかしたいという意志に共感しました。
 “地域医療のドミノ倒し”は、決して対岸の火事ではないと受け止めました。自分たちが暮らしている岡山市は医療機関や医師・看護師に恵まれていると言われます。しかし、人口減少が顕著な県北で医療機関がなくなるようなことがあれば、そのしわ寄せで、いまは受けることができる医療が10年後も受けることができるのかと懸念されます。我々も地域医療に関して正しく理解しなければならないという問題提起であるとも受け止めました。
 人を診察して治療するというモラルから医療機関は売上げ至上主義になってはいけませんが、コスト感覚は必要です。医療費にどれくらい要したのかコストを把握できている医療機関は全体の5%であることは驚きました。
 “大原則が必要”ともお話されていました。サービスレベルを落とさないための経費削減,過疎地への医療サービスの提供等の“大原則”を策定されることを期待したいです。


【5.最後に】
 茅ヶ崎市というロケーションの良さも自修自得に相応しいと思いました。近くに海を眺めることができるのは羨ましいです。
 この2日間はマイナス要因が多くても物事を常にポジティブに捉えて、考えること,実行することの大切さを学びました。
 海老根市長のVSOPには共感するだけではなく、自信が持てました。“自分だけにしかできないものを掘り下げていく”ことで、自らに磨きをかけていきます。
 このような研修の場を与えていただいた松下政経塾の古山塾頭をはじめ塾生の皆さま,講師の皆さま、小山事務局長、ありがとうございました。