2010年 松下政経塾特別例会

 
◆井上 和宣(岡山政経塾 九期生)

《松下政経塾合宿レポート》
  「自修自得」




【はじめに 】
 開塾以来30年の歴史を経て、昨年8月に歴史的な政権交代を果たした民主党内閣の閣僚をはじめ、政党の枠を越えて、国会議員、首長、地方議員に多くの優秀な人材を輩出している松下政経塾の神髄とは何か。短期間ですが、実際にその塾に身を置き五感で感じ取りたいと願っていました。


【松下政経塾】
 (たたずまい)
 JR東海道本線辻堂駅よりタクシーでワンメーター、静かな住宅地の中に、高い理想と志に基づいた行動を学ぶに相応しい門構えの玄関が開けてきます。簡素な中にも威厳があり、講堂をはじめ研修施設も万全です。「松心庵」というお茶室まで備えた、日本の伝統を極め、未来を切り拓く学びを行うに申し分のない環境です。翌朝の3キロウオークで分かったのですが、5分も歩けば、相模湾に出ます。茅ヶ崎と江ノ島を結ぶ海岸線は美しく、澄んだ空気に恵まれれば富士山を仰ぎ見ることも出来ます。松下幸之助塾主の、この場所を選んだ気持と塾に託す決意を感じます。理想に想いを馳せた多くの塾生の気持ちも、潮騒に乗って心に響いてくるようです。

(目指すもの)
 古山塾頭の講義で、塾の設立趣意と目的を学びました。それは、二つに集約されます。
1) 理想の日本・世界を築く理念と政策の研究を行う
2) それを実現しうる人材を育成する

(神髄・自修自得)
 続いて拝見した松下幸之助塾主生前の講義ビデオには、深い感銘を受けました。そこには、塾主の悟りと自らも成し遂げたリーダー像の神髄が凝縮されていました。
「剣豪と称される剣の達人・名人である宮本武蔵に師はいなかった。全て自分自身で鍛錬と経験を重ねてその域に達した。人から教えてもらうということにより、何かをうまくする人は出るかも知れないが、そのやり方では、名人は出ない。教わるのではなく、自分がゼロから考えて血の滲むような努力を積み重ねて成し遂げていくことによってのみ、名人になれる。今の政治の世界にうまくやる人はいるが、名人はいない。日本が混迷から抜けだし、明るい未来を創るためには、政治の名人が必要だ。君、宮本武蔵になるのだ。松下政経塾から政治の宮本武蔵を輩出する。時間はかかると思うが、必ず政治の名人が出てくる。」

 世界的な企業を築いた経営の神様の言葉です。迫力と重みがあります。
塾主は自らの人生で、「自修自得」こそが、成功の秘訣と悟っていたのでしょう。日本の、世界の未来を憂い、自らが救世主を創る以外に理想の未来は築けないと確信、覚悟して、この松下政経塾を開いたのです。

(卒塾者による講義) 
 3名の卒塾者、茅ヶ崎市議 海老名健太朗氏、藤沢市長 海老根靖典氏、29期生 高梁宏和氏による講義では、その内容からはもちろんのことですが、それ以上に、志を掲げて自修自得を重ね、自らの求める理想を具現化している姿から、多くの学びをいただきました。


【最後に】
 自らを振り返ると、何事に対しても既存に満足することなく、目的を見極め、その目的を達成すべき手段をゼロから考え、自分が信じる最良の方法でことに当たって参りました。変革の能動者を自負しておりました。
 今回の例会で、そのやり方が正しいことを再確認できたことは、少しの自信に繋がります。

 「コップに半分水がある。半分しか無いと思うか、半分もあると思うかだ」
 「成功の要諦は、成功するまで続けていくことだ」

 前向きな気持を忘れることなく、生涯、学びを続けて参ります