2009年 松下政経塾特別例会

 
◆渡辺 健太(岡山政経塾 八期生)

《松下政経塾体験レポート》
   素直な心。謙虚。感謝。




【はじめに】
 私は、松下政経塾が開塾された1979年に生まれ、岡山政経塾が開塾された2002年に大学を卒業し、社会人となった。
 松下政経塾は今から30年も前、当時85歳の松下幸之助翁が余生のためだけでなく、その後の日本の未来のために大きな志をもって設立された。甚だ厚かましい話だが、この松下政経塾と同級生であることに縁を感じ、今年6月に退職した父が務めた会社の設立者である翁の理念・志に触れることができる貴重な機会として、心待ちにしていた特別例会であった。その期待を裏切らない「気付き=学び」の多い2日間となった。

【「指導者の条件」を自分の言葉で翻訳する】
 古山塾頭の講話の中で紹介された「指導者の条件」という松下幸之助翁の書籍の中に102ヵ条の心得があげられている。古山塾頭が我々に投げかけられた質問、「指導者・リーダーに必要な資質を3つあげてみよ」に対し、私は次の3つを思い浮かべた。@一歩前を行く人であることA責任を取る人であることB部下に任せられること。
 例会後、早速同書を手に入れ、全項目確認したところ、私があげた3つは、@先見性、率先垂範、即決するA原因は自分に、使命感を持つ、責任感を持つB信頼する、任せる、人を使うなどという項目であげられており、岡山政経塾生からあがった他の項目も、ほぼ網羅されていた。
 そのことに驚くことよりも、当日あがらなかった項目の方に私は惹きつけられるものがあった。例えば、「いうべきをいう、怒りを持つ、きびしさ、信賞必罰」。最近ではコーチングやセルフマネジメントの概念から「ほめる」「自主性に任せる」「聞く耳を持つ」といったある意味「厳しさ」とは対極の要素の方が重んじられ、厳しい指導により部下がつぶされるといったことは許されない風潮にあるようにさえ感じる。もちろん、厳しさだけでなく「ほめる、辛抱する、長い目で見る、人を求める」などといった項目もあげられていたが、「いうべきをいう」覚悟と厳しさを持つ大切さを学んだ。
 また、古山塾頭も念押しされた「素直な心」「謙虚」「感謝」に関しては、自分なりの解釈を加え、これからの人生において座右の銘にしたいと思う。これからも様々な人から得た気付きや学びを、自分自身の言葉で翻訳し、反芻し一番腹に落ちる形で吸収するよう心がけたい。


【早朝研修。清められたのは何よりも自分自身。】
 早朝研修の清掃を通じて、自分自身が清められるという感覚を得た。一見、単純な作業ではあるが、人によって感じる事は違い、体調や精神状態によっても感じ方が異なると塾生の方からお聞きした。
 清掃に限らず、日々自身を見つめる習慣を持てることは極めて価値の高いことだと感じた。塾主が根源様に毎日手を合わせたということもここにつながるのだと思う。
 茅ヶ崎の美しい風景の中でのランニングを含めて、清々しい気持ちになった。同時に複雑に物事を考えすぎず、もっとシンプルに生きていきたいと感じた。これから先、どのまちに暮らすとしても、自分の住むまちの風や風景を日々体感し、自分のすむまちを自分の手で磨くことに積極的でありたいと思う。


【最後に】
 2日目の午後、自由視察ということで各々神奈川・東京近隣に散った。私は、波多さん、多田さんたちと江ノ電→鎌倉→東京駅界隈(皇居・国会議事堂経由)→靖国神社→秋葉原という欲張りな選択。東京駅で乗り込んだタクシーの運転手の方がとても素晴らしい方で、国会議事堂や各党の本部を案内してくださり、車中からではあったが霞が関界隈を存分に体感することができた。各所に立つ警察官の引き締まった面持ちが、岡山で見る警察官の印象とは全く異なったことも印象的であった。
 靖国神社では、日本一の大鳥居に圧巻。資料館である遊就館では、十分に時間が取れなかったことが悔やまれるが、戦争に対する思いを深めることができた。外国人観光客のほかに若いカップルも多く見られ、この人たちがどのように見ているのだろうかと興味を持った。個人的に一番印象に残ったのは、昭和20年8月15日終戦の日の靖国神社の様子を写した写真であった。小さな子どもと母親の姿など、残された人々が地面に頭をつけて祈るようにも、泣き崩れるようにも受け取れた。戦時中も今も、一人ひとりの暮らしがあり、家族がある。政治をはじめ、世の中の様々な問題は、遠いところで起こっているのではなく、我々一人ひとりの暮らしに、より近いところで起こっているのだ。
 松下幸之助翁の「日本国民が平等に口出しする」という言葉も借りて、こうした身近な感覚と、我々に切迫された課題であることを認識し、世の中で起こっていることを自分事として受け止めていきたい。
 最後に訪れた秋葉原では、日本のコンテンツ力(りょく)の一片を体感することができた。ここでは詳細は割愛するが、まちの魅力は徹底と一体感で創りあげるものだと感じた。

 我々のために貴重なお話しをお聞かせくださった松下政経塾の古山塾頭、海老名市議、北川さん、西田さんに心から感謝いたします。また、小山事務局長、例会担当の采女さん、榎波さん本当にありがとうございました。

〜心に残ったフレーズ〜
・一歩前進(御手洗にて)
・運と愛嬌
・自修自得。自ら師を持たずして師になる
・大学、会社に入りたいという依頼心
・政治は世話役を国がやること
・日本のリーダーになる
・ありのままに受け入れる
・不平・不満が出たら赤信号
・法律ひとつで大きく変わる
・学びは気付き
・本当に国民が求めていることなのか

以上