2009年 松下政経塾特別例会

 
◆森田 明男(岡山政経塾 八期生)

《松下政経塾体験レポート》
『経営の神様が危惧した日本は今、倒産の危機に。』



 今年の4月に岡山政経塾の門を叩かせていただいてから、早いもので既に半年の月日が経とうとしています。そして、この9月に行われた松下政経塾での合宿が24時間100キロ歩行、自衛隊生活体験、直島・豊島合宿と続いた体験的な団体活動行事の締めくくりとなるものでもあり、少し感慨深い気持ちで、このレポートを書いている自分がいます。
 今回訪れた松下政経塾は岡山政経塾の源流であり、また多くの政治家のみならず、多方面でご活躍の優れた諸先輩たちを数多く輩出されておられる素晴らしい学びと実践の場であり、湘南・茅ヶ崎に位置するというロケーションも含め、とても楽しみにしていた訪問先のひとつでありました。

【無税国家を唱えて設立されてから早30年。】

 日本の将来を憂い、次代を切り開く人材の育成を目指して現パナソニックの創業者、松下幸之助翁が開設した私塾が「松下政経塾」であり、私たちが訪問させていただいた2009年でちょうど設立30年を迎えられるとのことでした。しかし、その間に日本国の借金は1000兆円超という、見たことも聞いたこともない天文学的な数字となってしまいました。これはGDPの約2倍であり、主要先進国のなかでも最悪のランクに位置するようです。これが企業であったなら、とっくに倒産をしているような瀕死の状態なわけです。
 このような将来の事態を見抜き、その国家を建て直す「志し」を持った人間を育てようと考えた翁は、先見の明があったというべきなのでしょうか。
 2009年8月30日、永きに渡って続いてきた自民党の政治は、幕を閉じました。そして9月16日、鳩山首相の民主党政権へと時代は大きく動き出し、いよいよ2大政党制に向けて政権交代がなされました。ただ、自民党に自浄作用がなく、解党的な出直し、抜本的な見直しがなされないと国民が期待する2大政党制にはなり得ないのではないでしょうか。来年夏の参議院選挙までの推移を見守りたいと思います。話しが若干逸れましたが、そのような歴史的なタイミングのなか、松下政経塾を訪問させていただいたことは、大いなる考察の機会をいただいたように感じます。そのことにまず素直に、感謝いたしたいと思います。
 松下政経塾の佇まいは、歴史の重みを感じる和洋折衷の建物が凛としながらも松林のなかにひっそりとそびえている、そんな雰囲気を醸し出していました。到着してから施設をひと通りご案内を頂き、その後、講堂で古山塾頭の講義を拝聴させていただきました。
 その講義のなかで、塾主・故松下幸之助翁の私塾設立の想いもビデオで拝見もさせていただきました。切々と籠った声でありますが、想いを述べておられる翁のお話しには感銘を受けました。出版されておられる書籍に書かれていたのですが、なぜ日本の将来、先行きを心配すると夜も眠れないとまでおっしゃっておられたのか、私にはそこまでのお気持ちを推察させていただくことはできませんが、高度経済成長を牽引してきた会社のトップとして時代の先頭をずっと走っておられたからこそ、辿り着かれた境地だったのかもしれません。
 私も、今の豊かさのなかにある閉塞感を打破したいと思い、岡山政経塾の門を叩かせていただきました。何ができるかは、まだまだ模索中ではありますが、「今やらねばいつできる、わしがやらねば誰がやる。」の言葉には、さらなる研鑽を積み、自修自得を引き続き行うエネルギーを頂戴できたようにも思います。おそらくモノの豊かさで生活が満たされていく反面、心の豊かさが失われていく状況は、今も30年前も基本的に変わっていない事柄なのかもしれません。いや、30年前よりも無味乾燥というか無機質化して悪化しているのかもしれません。実際、メディアから伝えられる事件や事故のニュース、また放送されている番組自体のクオリティ、さらには政治家やオピニオンであるべき評論家と呼ばれる人たちの一部あるまじき発言などを見るにつけ、聞くにつけ、昨今、道徳観や倫理観がどんどん失われているように思えてなりません。いくら勉強ができて知識があっても、商才に長けてお金持ちであろうと、本来、社会で明るく、元気に、そして楽しく、また仲良く生きていくために必要で大切な「人間力」を養っていかないとギスギスした歪みのある世の中にどんどんなってゆくのだと思います。
 「人間力」という、その資質を伸ばし、また志しを掲げて、夢や希望を語り、国の舵取りをしてくれるリーダーを育てようとした翁の功績は高く評価されるものだと思います。今、そこから巣立った方の二人が大臣という要職で国策に取り組んでおられます。是非、正しい方向に舵取りしてもらえることを切にお願いしたいと思います。
 また、ご講演及び懇親会での「エビケン」こと海老名市議のお話しは、私の分科会テーマ、「街づくり・地域活性」にも非常に参考させていただけるものでした。有難うございました。さらには、北川塾生、西田塾生お二人のお話しもとても興味深いものでした。そしてお二人のお話しから最も得られたことは、松下政経塾と岡山政経塾は、それぞれ地域や職域、分野などは違っても共通の課題である「将来を現状よりもさらに良くする」「地域を日本をさらに良くする」という強い志しを持つ同志という立場で繋がっているのだということを感じさせていただけたことは大きな収穫であったと感じています。今後も機会あれば是非ご交流させていただければ有難く思います。


【魅力ある街、鎌倉・稲村〜中華街廻り。】

 二日目は、早朝のラジオ体操から始まり、施設内外の掃除というカリキュラムとなっておりました。単純に早起きは気持ちがいい。そして体操で身体をほぐすともっと気持ちがいい。さらに、掃除をしながら、散歩をしているご近所の方々とご挨拶をすると心が洗われた気がしてすこぶる気持ちがいい。松下の塾生の方も掃除は奥が深いと言われていましたが、所作の心構えとして確かに本格的な一日の行動に移る前の準備として、必要な習慣なのかもしれません。まだまだ上っ面なので、自分なりに工夫して実行し、思慮をこれから深めていければと思います。前述した松下塾生お二人のお話しが終わって午前11時前に松下政経塾を出てからは、新幹線最終まで自由行動ということとなりました。
 湘南名物、「生シラス丼」を八期生全員で食して東京靖国神社班と別れ、数人のチームで周辺の散策となりました。 私は、街づくり・地域活性の参考にと、少し足を延ばして歴史のある街「鎌倉」、映画のロケ地でもある「稲村」、そして横浜の「中華街」を見て廻りました。高徳院でまず大仏を拝み、長谷寺を見て、江ノ電で稲村の海岸へ。また電車で戻って鶴岡八幡宮へ。どこもかしこも観光客で溢れ返っていました。凄い人混みで土産物や飲食、拝観料、その他観光収入などがどんどん入っている様が見て取れました。さすが、鎌倉市は全国魅力ある都市ランキングでトップ10に入っている都市だと実感した次第です。
 今回の特別例会の少し前に会社の仕事で北海道札幌市に出向いた時にも感じた都市の活力を再び感じることができました。私が在住している岡山県では倉敷市がトップ20にランキングされてはおりますが、岡山市はというと150番目くらいの順位となっております。“何とか岡山市を倉敷市並みの都市ランキングなるよう魅力を再発掘・再発信し直し、相乗効果の核とすることができれば、岡山県全体の魅力、ポテンシャルアップに繋がっていくのではないか”という自分自身の考えをさらに固めることができた視察、踏査の旅として考えても有意義な行事であったと思います。買いたい、行きたい、住みたい、そして人に話したい、そんな街づくりの提言をこれからの半年でまとめ上げたいと思います。
 最後に訪れた横浜市、中華街もやはり活気に満ち溢れていました。その中華街で夕食を食べて、今回の特別例会は終了、岡山への帰路に着いたわけですが、翌日、体重計に乗ってみてビックリでした。生シラス丼に始まり、鎌倉ジェラート、豪華中華セットなどで、またまた88kgまで体重が戻っておりました。9月初旬から始めていたキャベツダイエットが台無しとなってしまいました。どうやら街づくりは、肥満との闘いでもあるようです。そう言えば小山事務局長に連れて行っていただいた分科会の後の豚松のラーメンと玉子焼きも美味しいけどカロリーは高そうです。


【最後のまとめとして。】

 今回の特別例会で、団体で活動する行事は終わりです。何となく少し寂しくセンチになりますが、OBの方どなたかのレポートにも書かれておりましたように、これから先の提言取りまとめに向けての下地を半年間のカリキュラムで時系列的に上手く、また思考的にも繋がるように段取りしていただいていたことが何となく理解できたような気がいたします。まだまだ討議を重ね、自分の持論とアイデアの精度を磨いていかなければならないとは思いますが、「地域から日本を変える」という岡山政経塾の理念の再認識と志し、気概、使命感などの気持ちは再び注入していただきました。残り半年、さらなる学びを続けていければと思います。そして最初から日本国を良くするなどと大風呂敷を広げることはせず、しかしながら地道に、それでも着実と成果の見える自分なりの社会貢献をしっかりと考え、実践してみたいと思います。いつも新たな刺激と勇気を頂戴する岡山政経塾、そして小山事務局長に感謝いたします。また、この特別例会の労を取ってくれた采女さん、榎波さん、本当にご苦労様でした。来年の神奈川での采女さんの100キロ行軍完歩を祈念して、レポートのまとめとしたいと思います。ありがとうございました。