2008年 松下政経塾特別例会

 
◆佐藤 俊輔(岡山政経塾 七期生)

《松下政経塾の訪問を終えて》




 9月6日、まだ、残暑が残る晴天の下、神奈川県茅ヶ崎市にある松下政経塾に到着した。清潔感のある荘厳な趣の中央の建物の横には創設者である松下幸之助の銅像が立っている。
この銅像の横には「わしがやらねばだれがやる、いまやらねばいつできる」という銘が刻まれていた。この銘は岡山県井原市出身の彫刻家、平櫛田中の座右の銘である。この遠く離れた地で再びこの言葉に出会えたという驚きとともにいかにこの言葉が普遍的で志のある人間にとって心を打つ大切な言葉であるのかを実感した。

<9月6日の日程を終えて>
 到着後、古山塾頭のお話を聞いた。松下幸之助翁が松下政経塾への入塾者への選抜の条件として「運と愛嬌」のある人ということを示されたという話は興味を引いた。愛嬌は分かるにしても運とは何だろうか。政経塾の解釈を示していただいたが人によって解釈も変わってくる言葉だと思った。仏教の悟り、禅宗の言葉のように極めて曖昧なように見えて本質をついた奥の深い言葉ではないかと考えた。
 昼食後、松下政経塾出身者である海老根藤沢市長、前田前横浜市副市長の講演を聞いた。
 海老根藤沢市長は緻密なマニュフェストを掲げ、お金のかからない選挙で当選し、この市民感覚を取り入れたマニュフェストを、成果指標を掲げて具体的に実践されている点は多くの地方行政の参考になりうるものであると感じた。また、前田前横浜市副市長は福祉の専門家でもいらっしゃる立場から実際に限られた財源の中で理想の福祉を追求することの難しさを語られた。これから、未曾有の高齢化社会となり、所得格差が進行していく中で現行では行政が行いうることには限界があることを考えると日本のかじ取りをどうとるのか(高福祉高負担がいいのか、低福祉低負担がいいのか)の選択の時期が近づいているということ、また、現場では市民との協働が不可欠であるということを実感した。
 夜は夕食後、懇親会で松下政経塾生やOBの方々との親交を深めた。人格的にも優れた方々であり有意義な時間を過ごすことができた。

<9月7日の日程を終えて>
 起床してからラジオ体操、清掃、ウオーキングを終え、松下政経塾生で直島合宿にも参加していただいた宮川典子さんの講演を聞いた。教師の時の体験や教育に行政の立場から関わりたいことから松下政経塾への入塾したことなどを語っていただいた。特に心に響いた言葉は「大人が変われば子供も変わる」という言葉であった。かっこいい大人が増えてくれば子供もそれを見て自ずと学んでいくであろう。理屈ではない心と態度なのだと実感した。私なりに解釈する「運と愛嬌」を持っている人のように思えた。その後、宇都さん、熊谷さん、宮川さんによって歓待を受けた茶の湯はそれを直接指し示すものであった。松下政経塾に別れを告げて靖国・東大ツアーに参加した。
 靖国神社の大きさ、荘厳さは私がこれまで見てきた神社のなかでもトップクラスに位置するものであった。若い女性が深々と遠くからお辞儀をしているのが印象的であった。東京大学は3期生の加来田さんの案内等により建物内部の見学、由来の解説など貴重な体験をすることができた。また福武ホールはデザイン性と実用性が融合した素晴らしい建物であった(これらの企画等すべてを仕切っていただいた荻野さんに感謝申し上げます)。

<おわりに>

 志のある方々の言葉というものは意義深く重みのあるものであり、貴重な時間を過ごすことができたことに感謝申し上げるとともに苦難の真っただ中にある日本において松下政経塾の方々の志ある行動とご活躍が日本を救うことを祈念いたしたいと思います。私もいろいろと失敗もしましたが実りある経験ができたと考えております。