2008年 松下政経塾特別例会

 
◆上田 勝義(岡山政経塾 七期生)

《第7回松下政経塾合宿に参加して》




 この度の松下政経塾合宿は何のためにあるのか、あらためて「岡山政経塾設立趣意書」を読み直しました。
 岡山政経塾において、塾生は財団法人松下政経塾の知恵と経験に学びつつ、人間とは何か、日本とは何かについて考察を深める。
 という一節がありました。
 来年30周年をむかえ、政財界をはじめ、各界へ多くのリーダーを輩出している松下政経塾で研修できる場を与えていただいたことに感謝いたします。また、まず敷地に足を踏み入れることすらないであろう、この地に立つ松下幸之助氏像の前に立ち、緊張感と歓びを感じました。それとともに、その像の横に一緒に彫りこまれている
 『いまやらねばいつできる わしがやらねばたれがやる』
 に感動いたしました。あの松下幸之助氏像を制作したのが浜田泰三氏で師匠で像の監修をした平櫛田中(ひらくしでんちゅう)の言葉です。平櫛田中は井原市出身の木彫家です。108歳まで生きて多くの作品を残しています。
 あの『いまやらねばいつできる わしがやらねばたれがやる』という言葉は地元では有名な言葉ですが、まさか松下政経塾にもあるとは知りませんでした。このことで非常に身近に感じ、元気が出ました。
 塾頭、塾生OB、塾生の講義は飾りのない、それぞれの範疇のお話で、今現在日本が直面する課題そのもののお話で、岡山政経塾の塾生がこれから取り組む分科会での課題研究に役立つものではなかったでしょうか。
 
<古山和宏 塾頭の講義> 
  政経塾とは人間を磨き、志を磨く道場である、と説かれた。
 自ら師をもたずして師になる。つまり自修自得、自分でつかみとるしかない。
 リーダーとは尊敬に値する人物であり、
  @志が明確で
  A素直な心をもち
  B元気なひと(熱心なひと)
 という条件をクリアーしなければ真のリーダーとはいえないと言われた。
 政治といえば坂本竜馬がもてはやされますが、先生はこれからの時代には政治の宮本武蔵が必要ではないか、また小さい政治で大きな成果が生まれるのが政治の理想だし、日本を変えていくという志が必要だと締めくくられた。

<海老根靖典 藤沢市長の講義>
 『市民目線で市民経営を』
  100センチの目線で現地主義。
  市民経営という観点から公共料金のトータルコストをグラフにして公開
 するという新しい手法に驚きました。また市有施設のコストもグラフ化されて非常に見やすくなっていました。今まで、自分たちのまちの施設(地区の公民館までも)にどれだけのコストがかかっているかというような考え方をしていなかったので、早速調べてみたいと思いました。財政的に厳しい時代だからこそ、また後年度負担増をまねかないためにも、費用対効果の検討は必ず必要なことです。
  海老根市長の事細かな108項目のマニフェストにも驚きました。後で困るから、項目を減らしたほうが良いという忠告もわからないではないことですが、あえて挑戦することで、市民・職員との本音での議論、切磋琢磨ができるのだなと感心いたしました。
  「市民と協働のまちづくり」という『協働』という言葉が行政でもてはやされているが、今後は「市民経営」という方向へ進むべきだなと思いました。これからの1期目の海老根市長のマニフェストの達成度に注目していきたいと思います。

<前田正子 前横浜市副市長の講義>
  行政サイドに身を置かれた立場での苦悩を赤裸々に語っていただいた。
 「財政が厳しい時代だからこそ、今の時代、好かれる市長はダメだ」
 と言い放たれた言葉はまさに本音だったなと思う。
  何をするにも、とにかく財源が必要。新たな事業をやるなら今までの何か事業を止めなければ出来ない。事業を今までやってきたからではなく、本当に何が大事かの議論が必要だということ。優先順位をどうやって決めるのか。事業をいかにして切るか。今一番必要なことだと思う。
  医療、福祉、教育は今までどんどん予算が膨れてきたけれども、現状をしっかり見て、未来のために、今どうするのか?
 未来を見通すことが求められると締められた。
  行政サイドの執行部の本音を聞く機会に恵まれたことは政治と言う観点からラッキーでした。前田講師からすれば、こういう仕事は1期4年で十分という感じでした。きっと身も心も・・・・ということなんでしょうか。

<宮川典子 松下政経塾生の講義>
   「大人が変れば 子どもが変る」
    子どもたちの未来を切り開くために頑張るという意気込み。
   教師時代の経験を語りながら、自分の立ち位置をしっかり把握し、やるべきことをつかみとり、目標に向かって歩まれている姿は美しい。
    日本の民度の低さを教育から直したいということ。
 選挙に行くことが政治に参加することであり、民主主義の一歩だということ。このことは、ひとりひとりの責任ではなくて、全体の責任だ。
 最後に今、最も子どもに不足しているものは『考える力』であると言われた。ゆとり教育で育まれたのではと思っていましたが、違ったんですね。教育の迷走が教育の現場を蝕んでいるとしか思えないです。
 臆することなくはっきりとしっかりと話される宮川典子塾生の姿に羨ましさを覚えました。こうして松下政経塾での3年間に大きく成長され各界で日本を背負って歩かれる土壌を作られるんだなと実感しました。
 
<まとめ> 
  早朝研修のラジオ体操、掃除、散歩、茶室でのお点前とスケジュールは続き、後ろ髪を引かれる思いで松下政経塾を後にしました。
  成功するための5ヶ条というのがあるのですが、二つを紹介します。

一、 成功のコツは素直な心である。「素直」とは服従することではなくて、いかなることがおこっても、うろたえず、ありのままに受け入れる柔らかな心をもつことである。
一、 全てのものごとは、成功するまでつづければ必ず成功する。
成功しないのは、その前にやめてしまうからである。

茶室に掲げられていた  「素直」

 自分は21世紀に理想の日本を実現するために残された人生をどう生きるのか、何をすれば良いのか、何ができるのか、卒塾まで半年もあるのか、半年しかないのか、今一度見つめ直すいい機会をいただいた。
 研鑚を積んで将来のために有為な人材にならなければ入塾した意味がない。自分の存在意義、岡山の、日本の、これからの姿を求めて。
 私から始めよう、今から再出発。