2007年 松下政経塾特別例会

 
◆春名 宏司(岡山政経塾 六期生)

《松下幸之助塾主の思いに触れて》



始めに
この度、岡山政経塾と大きな繋がりのある松下政経塾に訪れる事が出来た。私は岡山政経塾に入塾して逢沢一郎幹事を始めとして数名の松下政経塾の卒塾生にお会いし、講義を拝聴した。「他の方とは何かが違う」、それが卒塾生の皆様に共通して抱いた印象だった。
松下政経塾では何を教えられるのだろう、松下幸之助塾主のどの様な思いがあったのだろう、その疑問を解き明かすのが今回の合宿のテーマであった。

松下幸之助塾主の思い
まず私を迎え入れてくれたのは黎明の塔であった。「21世紀の夜明けを切り開く人材を育成する」との塾主の設立の理念を形にしたものであった。そしてアーチ門の加藤昭男氏のレリーフ「明日の太陽」にはここで学ぶ塾生への思いが込められていた。「この門をくぐる者は、どんな困難に出会おうとも愛と正義と勇気で太陽に向かって行く」。この二つの建物に圧倒され、松下政経塾合宿が始まった。
塾内施設の案内を受け円卓室、講堂などを案内された。議論しやすい様に円卓テーブルを、開塾当時五年制の塾生、一期定員30名が全員座れる様に講堂の席数は150席と、細やかな思いが込められていた。
そして感銘を受けたのは茶室であった。「真の国際人になるためには、日本の伝統文化を体現しなければならない」と茶道を始めとして剣道、書道などが研修に取り入れられていた。そして茶室の壁に掲げられていた「素直」と言う言葉。素直でなければ成長しない、素直でなければ本質は見えてこないと言う塾主の思いを感じた。
また正門よりアーチ門に掛けてクスの木が生い茂っていた理由を聞いて再び感銘を受けた。葉っぱが沢山落ちるクスの木がある事により掃除の必要性が出てくる。その毎朝の掃除に込められた思いは「塾内(身の周り)が掃除出来なくて、日本の掃除が出来るか」である。一見何も関係ない様に思える事が、実は繋がっている事を塾主は掃除を通して伝えたかったのであろう。
塾内施設の見学を終えた時点で抱いていた疑問が解決された気がした。松下政経塾は確かに政治学や政策論などを学ぶ所ではあるが、塾主が何より大切にされたのはまず人間としての根の部分、そして真の日本人としての自己を確かなものにする事であったのではないかと理解した。

松下政経塾の教え
松下政経塾の基本的な教えとして塾是・塾訓・五誓があった。松下政経塾に伝わる共通の理念である。この様な共通の理念があると言う事は塾生の考えに芯を持たせ、ブレの無いものにすると思う。松下政経塾の伝統が二十八年たった今でも引き継がれているのはこのシンプルでしっかりとした理念があるからではないかと理解した。
自修自得、改めてこの言葉の意味を教わった。宮本武蔵が例に例えられ、師を持たずして極意に達する事こそ名人を生み出す方法であると聞いた。本当の学びとは知恵を生み出す為のものであり、その知恵を生み出す為には自らが主体性を持ち、自ら進むべき道を知り、開拓して行かなければならないと言う事を理解した。そしてそれが指導者としての資質であると聞きこの言葉の深さを理解した。

最後に
今回の松下政経塾合宿で一番心に思ったのは人間としてどうあるべきか、日本人としてどうあるべきかと言う事であった。そして岡山政経塾生として私が何をすべきなのかが改めて問われた気がした。松下政経塾の流れを汲む岡山政経塾に身を置く事に誇りを感じ、何が出来るのかを改めて模索し、改めて志を立てたい。そしてこれから続くであろう岡山政経塾の六期生であると言う事に責任を感じ、伝統を引き継いで行く為に努力しなければならないと感じた。
いつもこの様な大きな気づきを頂ける岡山政経塾の皆様に、そして今回お世話になりました松下政経塾の皆様に心より感謝致します、ありがとうございました。