2004年 松下政経塾特別例会

 
◆堀内 ともえ(岡山政経塾 三期生)

《人間把握》
                                        2004.9.14



 平成16年5月100km歩行、7月直島合宿、そして今回9月松下政経塾特別例会、各時点を振り返り、段階を踏みながら私達は何を目指して進んでいこうとしているのか、改めて考えた。
 というのも直島合宿後から各分科会に分かれたが、教育分科会のメンバーと更なる自習自得を実践していく中で、ふと分科会での学習の先に何があるのだろうと考えることがある。当面の目標は卒塾論文を完成させることである。しかしもっと大きな指針があるのではないだろうか。

 松下政経塾25周年記念シンポジウムの中で、ビジョンや戦略は必要だが、ノウハウについての議論ばかりになっている、そこに哲学がないのではないかという話しがあった。戦後世界に追いつけ追い越せでトップの中の一国に躍進していった日本。豊かで便利な生活を手に入れてしまったその後、目標を失ってしまったのではないだろうか。そこに日本の哲学が存在しなかったのではないか。政策の議論なのか、哲学の議論なのかどの話しを聞いていてもそこに意識がいった。

 神奈川県茅ヶ崎市、海沿いのとても雰囲気を持つ場所に立地する松下政経塾。凛とした空気だった。私は自分の通った小学校から大学まで、すべて校門に向かう場所が好きだった。松下政経塾の入り口もあの空気に似ていた。学習の場なのだと感じた。
 25年という歴史を感じさせるその場所で松下政経塾生の方の発表を聞きながら、それぞれ専門性は異なるが、そこに何かしらの哲学が存在するのか考えながら聞いた。彼らの最終目標は何だろうか。

 岡山政経塾生はどうであろうか、と考えたとき、哲学とは少しずれるかもしれないが、目指す方向について私なりの答えは岡山政経塾設立趣意書にある。“地域から日本を変える”、“国際的な視野を持って岡山の未来を創造する”。岡山を良くしたいという共通の強い気持ちをみんなが持っていると思った。

 そしてそれは一人では成しえない。今回の特別例会で一番心に残った言葉がある。松下幸之助塾主が第1期生を迎えて最初の講義で語った言葉、「この塾で、一番最初に諸君に訴えるものは、人間把握です。」とても奥が深い。難しそう。でもおもしろそう。きっと一番把握すべきものであろう。“人間把握”に哲学へのヒントがあるように私は感じた。そもそも哲学へのヒントは千差万別であろうが。

 まだまだ私は無知である。学習することはきりが無い。哲学、理念とはなんだろう?まだよく分からない。しかしそれが見えれば、向かう先は迷わない。戦術が違っても目指すものは明確になり同じところに辿り着くはずだ。
 冒頭で記した“分科会での学習の先に何があるのだろう”という疑問に対して、私なりの哲学を見つけること、そして岡山政経塾の趣意を常に先において進めていきたいという結論に今のところは落ち着いた。
 今回の松下政経塾特別例会は松下幸之助塾主の理念、哲学に触れ、考えさせられる意義のあるものだった。
 
 余談になってしまうが、例会終了後の自由時間を使い、品川にある原美術館に、奈良美智回顧展“From the Depth of My Drawer“を見に行った。混沌とした世の中に不満や危うさを抱きながらも、自分の意志でちゃんと歩いていくんだよ、私は、と言っているような子供(のような人)の絵。けっして笑顔ではないのに、その表情にソフトなエネルギーを感じてしまう。現代を生きるヒントをここにももらった気がする。3期生の仲間と共に行動した楽しい時間だったので追加して書き記しました。

 最後に、お忙しい中、岡山政経塾を迎えていただいた松下政経塾の皆様、休みを返上してお世話いただいた塾生の方々、この特別例会に参加する機会を与えて下さった岡山政経塾、そして幹事の本郷さん、関係者すべての方に心より感謝申し上げます。