2004年 松下政経塾特別例会

 
◆小谷 仁志(岡山政経塾 三期生)

「いとしき友へ」 2004年9月5日の手紙




 現在、午後11時、ただいま無事家に着きました。
 昨日から松下政経塾創立25周年記念シンポジウムに参加するため、岡山政経塾の皆さんと東京大手町の経団連会館に行き、昨夜は茅ヶ崎の松下政経塾に泊りました。松下政経塾は、さすがに国会議員を30名近くも輩出しているだけのことはありました。普段はテレビでしか見ることができない日本の第一線で活躍されている錚々たる方々を間近に見ることができ、もっと若いころであれば少々興奮したのかもしれません。
 シンポジウムでは、示唆に富んだお話をたくさん聞くことができました。なかでも、トークセッションの結びにコーディネーターの福岡政行先生がおっしゃった「松下政経塾も義理・人情とかそんな部分も出てくれば、新たなる展開が生まれてくるのでは」という意味の言葉が一番印象に残りました。
 文芸春秋2月特別号の山村明義氏の論文によると、松下政経塾出身者の共通した特徴は、クリーンで政策通ではあるが「軽い」「薄い」「インパクトがない」という三拍子に集約されるとのことです。また、松下幸之助があまりに偉大であったので、いつまでたってもみんなそれをのり超えることができないといった内容のことも書かれています。

 大きな転換期を迎えているであろうこの国のことを思うとき、私の頭には戦国武将や明治維新の英傑のことが浮かんできます。すこし前の日本は「経済一流・政治は二流・マスコミ三流」と言われていました。その評価が正しかったのかどうか、私にはわかりません。ただ、間違いなく言えるのは、今のこの国には、ほぼすべての分野において人材が不足しているということです。内政・外交の山積する課題を解決するだけの力量を持った人間がいないというのは、大変不幸なことです。日々、命がけであった戦国武将や明治維新の英傑たちと保身に汲々としている現代の人々を比べたとき、この国の未来に明るい展望が拓けるとは思えません。
 課題に立ち向かうとき一番必要なものは、人としての心ではないでしょうか。いくら政策通でも人の心がわからない人に良い政治ができるとは思えません。政策で勝負するのは当然のことなのですが、たとえば費用対効果などといってみても、結局は経済至上主義から脱却できていない、血の通っていない政策が多いのではないかと感じます。
 私は、他人の痛みがわかる人間でありたいと思います。このたび東京に行く機会を得て、いつの日か政治を志すことになろうとも、人の心を大切に命がけで問題に取り組める人間でありたいとの思いをさらに強くしました。今後も岡山政経塾等の活動を通して精進してまいりたいと思います。
 では、次にお会いできる日を楽しみにしています。